小児歯科

乳歯の重要性

乳歯は丈夫な永久歯が生えるための準備の役割や、永久歯を正しい位置に導くといった役割があります。その他にも、顎の骨の成長や知能の発達、正常な噛み合わせにも影響を与えます。

生えたての歯はとてもデリケートです

永久歯の生えたての時期は、歯の表面が粗造で汚れが付きやすくむし歯になりやすい時期です。また、乳歯にむし歯があると永久歯もむし歯になるリスクが高まります。お子様の歯に異常を感じたら、お早めにご相談ください。

生まれたばかりの赤ちゃんのお口の中は無菌状態で、むし歯菌はいないと言われています。では、なぜむし歯になるのでしょうか？むし歯は感染症です。つまり、お口のスキンシップなどを通じて周囲の大人からお子様のお口にむし歯菌が移り、むし歯に感染してしまうのです。むし歯菌に感染しやすい時期は、生後1歳7ヵ月～2歳7ヵ月の間です。この1歳7ヵ月～2歳7ヵ月の間に、お子様と同じ箸やスプーンを共有しない、噛み与えをしない等のお口のスキンシップを控えることで、成長した時のむし歯の本数を少なくすることができます。

お子様の歯の健康のために意識すべき点

• 甘いおやつから歯にやさしいキシリトールなどが入ったお菓子に変える
• すぐに飲み込ませずによく噛んで食べさせる
• 食べ終わった後はすぐに歯磨きをする
• 歯を磨けない場合には口ゆすぎをする

お子さんの歯並びで
気になることはありませんか？

お子さんの歯並びが悪い場合、
いろいろな原因が考えられます

• 骨格的な要因
• むし歯
• お口まわりのクセ
• 食べ方、飲み込み方
• お口ぽかん などなど

実は、お子さんの歯並びは
お口まわりのクセに大きく影響されます

1. 唇をかみこむ：上または下の前歯が出っ歯（上顎、下顎前歯の前突）
2. 指しゃぶりの長期化：前歯がかみ合わない（開咬）、上の前歯が出っ歯（前歯の前突）
3. お口ぽかん、口呼吸：唇や舌の筋力低下による前歯の傾斜（前歯の前突）
4. 舌の癖（舌の突出癖）：上下の前歯がともに前方に傾斜（前歯の前突）
5. 爪かみ・鉛筆かみ：前歯がかみ合わない（開咬）、出っ歯
6. 頬杖：顎に偏った力が加わり、上顎の突出・顔面の非対称・歯並びの乱れやずれ

習慣の改善と
小児矯正という選択肢

クセの改善とともに、必要に応じて小児矯正で早期に対応することも選択肢となります

• 指しゃぶりや舌癖の改善：口腔筋機能療法（口腔機能発達不全症への対応）
• 姿勢指導や呼吸のトレーニング
• 小児矯正：プレオルソ（筋機能訓練のためのマウスピース）など

プレオルソの適応

3～10歳頃のお子さんで、下記に該当する場合は治療の適応となります

• 出っ歯（上顎前突）
• かみ合わせが深い（過蓋咬合）
• 受け口（反対咬合、下顎前突）
• がたがたの歯並び（叢生）
• 前歯の上下がかみ合っていない（開咬）

プレオルソのメリット

1）日常生活への影響が少ない

プレオルソを装着する時間は日中の起きている間の1時間と就寝中です。
保育園、幼稚園、学校で装着する必要はなく、見た目を気にすることはありません。
装着しながら会話もできこれもトレーニングになります）、お子さんの日常生活への影響は少ないと考えられます。

2）痛みがほとんどないため、お子さんへの負担が少ない

ポリウレタン等の弾性力のある素材でできているため、装着しても痛みはほとんど感じません。また、金属アレルギーの心配もありません。
一般的な固定式の矯正装置は、金属製のワイヤーなどで強い力を加えるために違和感や痛みが強くなりやすいと言えます。

3）取り外しが可能でお口の中を清潔に保てる

プレオルソは取り外しができるため、普段通りに歯磨きがでます。お口のなかを清潔に保て、治療中のむし歯リスクを抑えることができます。

4）通院の頻度が減らせられる

プレオルソは装置の調整がないため、一般的な矯正装置と比べて通院の頻度が少なくなります。ただし、経過の確認は必要です。

5）後戻りしにくい

歯並びを悪くする原因を根本から改善してゆくため、治療終了後の後戻りがしにくいとされています。

プレオルソをするときに
必要なこと、留意点

1）装着時間を守る必要がある

プレオルソは日中の起きている1時間以上と夜間の就寝中に装着する装置です。それ以下の時間では治療効果が上がりにくくなります。また、装置を入れることでお口周りの筋機能を訓練するため、装置の使用が前提になります。
当院では夜間の使用時にはお口にテープを貼ってお口を閉じるように案内をしています。
ご家庭では、日中の1時間を宿題、課題、ゲームをしている間に装着するなどの約束事を設定して、装着時間を守れるようにサポートしてあげてください。

2）舌・口元のトレーニングも大切です

お口周りの筋肉をトレーニングすることでスムーズに歯が移動し、治療期間が短くなることもあります。また、後戻りを防ぎます。

3）プレオルソ単独で治らない部分は本格的な矯正装置が必要

プレオルソは柔らかいマウスピース型装置のため、主に筋機能や舌の動き、顎の発育に働きかける治療法です。そのため、ある特定の部分のみスペース確保すること、歯を１本1本精密に移動させて歯並びを整列させることは困難です。このような場合では拡大症やブラケット等の本格的な装置が必要になる場合があります。すべての症例で有効な装置ではありません。

プレオルソの治療のながれ

プレオルソの治療を
開始する時期について

プレオルソは、舌の正しい位置、お口周りの筋機能をトレーニングすることで、顎や歯の位置を正しい方向に誘導することで歯並びの乱れを予防する、きれいに整えたりする装置です。そのため、骨が軟らかい3～10歳の時期に始めることが推奨されています。
お子さんそれぞれで治療を開始する良い時期は異なります。その時期を見極めるためにもお子さんの歯並びなどで気になることがあれば早い目にご相談ください。
装置の使用にあたっては、お子さんが治療のこと（プレオルソを入れることなど）をある程度理解できることも考慮する必要があります。