大阪市福島区　福島駅、新福島駅ちかく　山下助産院

やました歯科医院です

 

冷たい食べ物、飲み物で歯がしみる時、知覚過敏かな？むし歯かな？と気になることがありますよね。

今回は「知覚過敏」について考えてゆきます。

 

まずは知覚過敏の定義から

「歯ブラシの毛先が触れたり、冷たい飲食物、甘いもの、風にあたった時などに歯に感じる一過性の痛みで、

特にむし歯や歯の神経（歯髄）の炎症などの病変がない場合にみられる症状」と言います。

過敏と敏感は鋭く反応することを指しますが、医学用語に敏感(sensitive)はなく、過敏(hypersensitivity)があります。

歯の知覚過敏はhypersensitive tooth　に訳されます。つまりは病的な状態です。

 

知覚過敏の原因

歯の構造は表面がエナメル質、内側が象牙質で構成されていて（歯根部分は表面がセメント質です）さらに内部に

歯髄と呼ばれる歯の神経があります。

象牙質は外側から内側に無数の小さな管状の構造物（象牙細管）があります。この構造によって象牙質は痛みを伝える部分になります。

象牙質の外側はエナメル質でおおわれているので象牙細管がむき出しになりませんが、以下に述べますさまざまな理由で

象牙質が露出すると、外部からの刺激を歯髄に伝わりやすくなります。

これが知覚過敏を引き起こします。

※象牙細管は加齢とともに少しずつ塞がってくることがあり、このような場合には知覚過敏は生じません。

 

１）歯肉の退縮

歯肉の位置は年齢とともに下がってきます。それに伴い、歯の根の部分が露出しますが、そこにはセメント質があります。

セメント質はエナメル質程頑丈ではありませんので容易に象牙質がむき出しになります。

このような状態では、歯ブラシが触れる、温度の変化などによる刺激で痛みを感じることがあります。

痛みの持続時間は１分以内程度で、時間の経過とともに消失します。

歯の表面にたくさん歯石が付いている場合、歯石除去後にも同じような痛みを感じることがあります。

歯石除去時は器具が象牙質表面に触れる、水をかけて処置をするなどで知覚過敏と同様の痛みを感じることがあります。

 

２）歯の破折

打撲などにより、歯が破折（折れる）して象牙質が露出すると、知覚過敏症状が出ることがあります。

破折時には歯に亀裂が入っていることもあります。

３）歯がすり減ることによる象牙質露出

歯の表面は少しずつすり減ります。（お子さんの生えたての歯で前歯などは分かりやすいですが、ギザギザしています。）

すり減った結果、エナメル質がなくなり象牙質が露出することがあります。

ただし、大きくすり減っても必ずしも知覚過敏症状が出るわけではありません。

歯にとって悪い刺激が加わると、歯髄を保護するために第二象牙質と呼ばれる組織を形成することがあるからです。

 

４）歯が溶けることによる象牙質の露出

エナメル質はph５.５程度で溶け始めますので、お口の中の酸性状態が長時間続くと影響がでることがあります。

炭酸飲料を長時間かけて飲む習慣や、酸っぱい飲み物、食べ物を頻繁にかつ長時間摂取するような習慣があると、

歯の表面は簡単に溶けて内部の象牙質が露出します。このような状態を酸蝕歯と言います。

象牙質はエナメル質よりも弱い酸で溶けてしまいますので、さらに歯は溶け、知覚過敏が生じやすくなります。

 

５）むし歯治療に伴う知覚過敏

歯を削る処置は神経に刺激を与えます。局所麻酔を併用していると、むし歯治療時には痛みなどを感じません。

局所麻酔の効果が切れてくると、歯に痛みを感じることがあります。歯髄が刺激によって軽い炎症状態にあるからです。

これらの違和感、痛みは処置後ほどなくして消えてゆきます。

また、治療法によっては噛み合わせ時に痛みを感じるようになることもあります。

しばらく経過を観察し、知覚過敏症状がなくなる場合もあれば、再治療を行うあるいは歯の神経を取り除く必要があり得ます。

 

６）ホワイトニングに伴う知覚過敏

ホワイトニング（歯の漂白）によって一時的に知覚過敏が生じることがあります。

ホワイトニングで使用する薬剤の影響であると考えられてますが、詳細なメカニズムは不明とされています。

ホームホワイトニング（家庭でする歯の漂白）の場合、１～２日ホワイトニングを中断すれば症状が消えて

再びホワイトニングをすることができます。

また、ホームホワイトニングが終了すれば知覚過敏がなくなるとされています。

※ホワイトニングはコチラを参照してください⇒ホワイトニング　～歯は白くなるの？～

 

治療法

１）再石灰化を促す

知覚過敏は軽度なものでは期間が過ぎると自然に消失することもよくあります。

これは象牙質の露出部分が、唾液や歯磨剤からの再石灰化成分によって、象牙質の微細な空隙が

封鎖されるためと考えられています。

歯の表面は常に脱灰（溶ける）と再石灰化（修復）を繰り返しています。

露出した象牙質は歯みがきでも痛みを感じやすくなっていますが、歯みがきを十分に行わないとプラークが付着します。

プラーク中にはむし歯菌がいて、酸を作りその歯の表面を溶かしています。

再石灰化とは逆の脱灰という現象です。こうなると知覚過敏はむしろ悪化することも考えられます。

知覚過敏の改善にも歯みがきはとても重要です。

再石灰化を促すものとして、フッ化物応用も知覚過敏には効果があるとされています。

※フッ素のお話はコチラを参照してください⇒おうちでもフッ素をしたほうがいいですか？むし歯予防とフッ素の関係

 

２）歯の神経の興奮を抑制する

知覚過敏は歯の神経が刺激を受けて、痛いという信号を中枢神経に送ります。

この信号を送らせないようにする、神経を興奮させないようにするという治療法です。

歯の神経の周囲はカリウムイオンが多く取り巻いていると神経細胞は興奮しにくくなる原理を応用しています。

歯磨剤に硝酸カリウムという成分を含ませて、歯磨剤を継続的に使用することで知覚過敏の改善効果があると

言われています。かの有名な知覚過敏用の歯磨剤がこれに相当します。

 

３）象牙質の露出部分の内部の空隙を封鎖する

露出した象牙質の内部の小さな空隙を、歯と同じような成分の結晶やその他様々な物質で封鎖することで、

歯の神経への刺激の伝達が遮断されて、知覚過敏をなくすことができます。

そのための材料を歯科医院で塗布する方法の他、歯みがき剤でも結晶の形成を促進する成分を含むものがあります。

歯科医院で塗布する方法の方が歯みがき剤による方法よりも効果が高く即効性もあります。

 

４）露出した象牙質部分を埋める

むし歯治療で使用するレジンで物理的に埋めます。

即効性がありますし、へこみがある部分の形態を回復させることができます。

 

５）歯の神経を取り除く

知覚過敏は一過性の痛みですが、痛みの持続時間が比較的長いような場合や、その痛みが非常に激しい場合には、

歯の神経に炎症などの変化が起きていることも疑われます。

できれば歯の神経は温存すべきですが、生活に支障が出るようであれば、歯の神経を取り除く治療をすることもあります。

 

予防法

残念がらとくにこれと言った予防法はありません。

歯肉の退縮は加齢現象ですが、歯周病が原因で起こることがあります。また、不適切な歯磨きでも歯肉が退縮します。

歯の表面にプラークが付着したままだと、歯の表面の脱灰が進行します。脱灰はむし歯を進行させますし、知覚過敏にもなります。

これらのことを踏まえると、歯周病とむし歯の予防が知覚過敏の予防につながることになります。

 

ある程度むし歯が進行した場合、冷たい飲料物でしみるなど知覚過敏と同じような症状がみられます。

また、歯き亀裂が入っている場合にも同じような症状がみられることがあります。

これらの場合は早く治療をする必要があります。

むし歯などによる痛みなのか、知覚過敏による痛みなのかは分かりにくいため、早めに歯科医院を受診することをお勧めします。

どうぞお気軽にご相談くださいませ。

 

 

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（当歯科医院の特徴やコンセプトはコチラをご覧ください⇒https://yamashita-dnt.com/　）

 

 

 

参考文献

日本歯科医師会　HP　歯とお口のことならなんでもわかるテーマパーク８０２０

医歯薬出版株式会社　保存修復学・歯内治療学

その他