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やました歯科医院では初めてご来院いただく患者様に限り、インターネットからいつでもご予約いただけます。必ず以下の注意事項をお読みの上ご利用ください。
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こんにちは。大阪市福島区、福島駅すぐの「やました歯科医院」です。
「感染性心内膜炎(infective endocarditis :IE)」をご存知でしょうか?
血液の中に入り込んだ菌が、心臓の弁や壁などの心内膜に感染をおこす病気です。
心臓にある弁は血液が逆流するのを防いでいますが、感染をおこすと正常に働かなくなることがあります。
また、菌が塊(疣腫:ゆうしゅ)になり、一部が崩れて(塞栓)、血液の流れにのって全身に運ばれると、
心臓だけでなく、全身で症状(他の臓器で閉塞を生じることがあります。
例えば、脳へ続く動脈が閉塞すると脳卒中が起こり、心臓へ続く動脈が閉塞すると心筋梗塞が起こります。
また、塞栓は付着している部位に感染症(感染巣形成)を起こします。
慶応義塾大学病院HPより
感染性心内膜炎では、突然の高熱や心拍数の上昇、疲労、急速で広範囲にわたる心臓弁の破壊がみられます。
しかしながら、これらが歯科治療中に急激に生じることはありません。歯科治療の内容によっては、
口腔内の細菌が血液中に原因細菌が移行することで感染性心内膜炎の原因となることがあります。
また、感染性心内膜炎のリスクが高い方は歯科治療に注意が必要となります。
歯科治療によって、口腔内の細菌が血液内に移行(菌血症)し、
感染性心内膜炎が引き起こされる可能性が高くなります。
すべての方に感染性心内膜炎の可能性があるわけではなく、
いわゆる「高リスク」の方が特に注意が必要です。
そして、高リスクの方には歯科治療の前に予防対応が必要となります。
以下は
感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドライン(2017 年改訂版)
Guidelines for Prevention and Treatment of Infective Endocarditis (JCS2017) からの抜粋です。
感染性心内膜炎の予防を検討する場合
1)成人の高度リスク患者(感染しやすく重症化しやすい患者)
・人工弁置換患者
・感染性心内膜炎の既往がある患者
・複雑性チアノーゼ性先天性心疾患(単心室、完全大血管転位、ファロー四徴症)
・体循環系と肺循環系の短絡造設術(シャント)患者
⇒感染予防が必要
2)成人の中等度リスク患者(必ずしも重篤とならないが,心内膜炎発症の可能性が高い患者)
・ほとんどの先天性心疾患
・後天性弁膜症
・閉塞性肥大型心筋症
・弁逆流を伴う僧帽弁逸脱
⇒感染予防が推奨(提案)される
感染性心内膜炎の予防が必要な歯科治療
→出血を伴い菌血症を誘発するすべての侵襲的な歯科処置
・抜歯などの口腔外科手術
・歯周外科手術
・インプラント手術
・スケーリング
・感染根管処置 など
感染性心内膜炎の予防には、予防的抗菌薬の投与が行われます
・経口投与:処置の1時間前に服用(1回のみ)
(成人)アモキシシリン 2g
(小児)アモキシシリン 50mg/kg ※体重20kgの小児は100mg
※βラクタム系抗菌薬(ペニシリン系、セフェム系、ペネム系、カルバペネム系など)に
アレルギーがある場合(成人)
→グリンダマイシン600mg、またはアジスロマイシン500mg、またはクラリスロマイシン400mg
処置1時間前に服用
以上のように、ガイドラインではこのようになっています。
菌血症と歯科治療
菌血症:本来、無菌であるはずの血液中に細菌が認められる状態。
血液内に侵入した細菌は、肝臓などですみやかに除去されるため、ほとんどは
「一過性の菌血症」と呼ばれます。
歯科処置に伴う菌血症の発症率は、抜歯などではほぼ 100% で、
歯石除去8~89%と高率とされ、さらには咀嚼や歯ブラシ使用によっても発症するとされています。
Heimdahl A, et al. 1990,Roberts GI, et al. 1992,Lockhart PB, et al. 2008,
Hall G, et al. 1999 ,Debelian GJ, et al. 1995,Everett ED, et al. 1977,Guntheroth WG. 1984 参照
う蝕や歯周病が未治療であれば、口腔内の細菌が血液中に移行する危険性が高く、
さらに日常の食事や歯磨きでも菌血症となっていることになります。
気を付けていただきたいこと
感染性心内膜炎のリスクが高い方は循環器系の疾患に対して治療を受けていると思われます。
また、主治医からも注意点(特に歯科を受診する際)の説明を受けていると思います。
該当される方は、まずは申し出てくださいますようお願いいたします。
大阪市福島区 助産師のいる歯科医院
(当歯科医院の特徴やコンセプトはコチラをご覧ください⇒https://yamashita-dnt.com/ )
歯科治療とその他の疾患に関することでも、お気軽にご相談くださいませ。
(こちらの内容も併せてご覧ください→歯科麻酔・有病者歯科について)