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大阪市福島区福島駅の歯医者【やました歯科医院】

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気管支喘息と歯科治療

気管支喘息の患者さんは、近年増加していると言われています。

 

われわれ歯科医療者は、安全に治療を行うためには喘息発作への対応も大切ですが、

「いかに喘息発作を予防するか」が重要だと考えています。

気管支喘息と診断され、すでに治療を受けている方でも重症度はさまざまです。

 

今回は、気管支喘息の患者さんが歯科受診する際の注意事項をまとめました。

 

気管支喘息の患者さんと歯科治療時の注意点とその対策

1)治療中の環境

・歯や詰め物を削った時にでる切削片、義歯や仮歯の修正などに使用するレジン(プラスチック)、

ホコリは気管支喘息を誘発する可能性があります。

(対策)

・義歯や仮歯の治療時には削りカスなどに注意をして技工操作をしています

(義歯、仮歯を削る時には専用の吸引器の中で行います)

・普段からホコリどがない清潔な診療室、環境づくりを行っています

・診療室の換気を充分におこなっています

 

 

2)局所麻酔薬

・防腐剤(パラベン)に過敏に反応することがあるので注意が必要です。

・気管支喘息の治療でβ2 刺激薬を使用している患者さんは局所麻酔薬に

添加されているアドレナリンによって動悸、不整脈を起こす可能性があります。

(対策)

・防腐剤、アドレナリン無添加の局所麻酔薬を使用します

※鎮痛効果が劣ることがあるため、治療内容によって異なります。

 

 

2)治療中のストレス

喘息発作の誘因となるようなストレス(痛み、刺激臭、冷房、咽頭部への流れ込み、時間が長いなど)は

気管支喘息を誘発する原因となりうります。

(対策)

・痛みの少ない、刺激の少ない治療

・休憩をはさむなど、休み休みながら無理のない治療

 

 

3)診療中の体位

歯科治療は水平位(寝かした状態)での治療がほとんどです。

気管支喘息の患者さんは水平位で呼吸が苦しい場合があります。

(対策)

・半座位など患者さんが楽な姿勢での治療

 

 

4)アスピリン喘息

アスピリンをはじめとする解熱鎮痛薬(非ステロイド性抗炎症薬:NSAID’S:

ロキソニン™、ボルタレン™、アセチリサリチル酸:アスピリン:バファリン™など)で

誘発される喘息発作を主体とする激しい過敏反応が誘発されることを特徴とする気管支喘息の一つです。

治療後の鎮痛薬に注意が必要です。

(対策)

・塩基性NSAID’Sのエモルファゾン(ペントイル™)、

シメトリド・無水カフェインの合剤であるキョーリンAP2™顆粒および

漢方薬の立効散が使用できるとされていますが、鎮痛効果が弱いのが欠点となります。

・アセトアミノフェン(カロナール™)は比較的安全という報告と、やはり危険という

報告があります。

・鎮痛剤の使用は、かかりつけ医(主治医)と連携することになります。

 

 

5)長期間ステロイド剤を使用している場合

ステロイド薬を長期に渡って服用している場合、副腎機能が低下していることがあります。

このような場合にはストレスに対して非常に弱くなっています。また感染しやすい状態です。

(対策)

侵襲度が大きな外科処置を行う場合はかかりつけ医と十分な連携をとる必要があります。

普通抜歯程度は問題ないと言われていますが、感染予防は重要になります。

 

 

歯科治療の前に気管支喘息の状態を問診します

1)気管支喘息の種類

・アトピー型喘息:いわゆる小児喘息。アレルゲンによって喘息発作が引き起こされます

・感染型喘息:高齢者に多いとされ、慢性閉塞性肺疾患の一つです

・薬物誘発性喘息:各種薬物により誘発されるもので、アスピリン喘息が最も有名です

2)投薬内容

お薬手帳を持参してください

日頃から使用しているお薬は治療当日も使用、服用してください

発作時に使用するお薬も必ず持参してください

3)発作時の対応

発作が起こったとき、普段どのような対処されているのかを聞き取ります

4)アレルギーの有無

気管支喘息患者の1/3に薬物アレルギーがあると言われています。

 

5)アスピリン喘息の既往

 

 

発作が起こってしまった場合の対応

・ただちに歯科治療を中断し、呼吸困難のない体位(呼吸が楽な体位)にします

・発作時に使用しているお薬を吸入あるいは服用します

・生体モニターで状態を確認しながら、必要に応じて酸素吸入をします。

・会話が困難なほどの中、大発作であれば専門医あるいは後送医療機関を受診します。

 

 

その他の注意点

・頻回に発作を起こしている時期、発作の起こりやすい時間帯は歯科治療を避けましょう。

・体調の良い時期に歯科治療を行うようにします。

※一般的に発作は秋に最も多く、春・冬・夏の順にみられ、季節の変わり目にも多いとされています。

また、1日のうちでは、深夜から早朝にかけて多くみられるようです。

 

まとめ

日本では、喘息の患者さんは増えており、1960年代では子どもも大人も1%前後でしたが、

最近の調査では子どもで約6%と6倍、大人で約3%と3倍になっており、

全体では400万人を超えています。(平成16年度厚生労働省国民生活基礎調査より)

 

気管支喘息の病態は「気道の炎症」です。

気管支喘息の人の気道は症状がないときでも常に炎症を起こしており、常に敏感な状態になっています。

正常な気道なら何ともないホコリやタバコ、ストレスなど、また、わずかな刺激でも

気道が狭くなり、発作がおきてしまいます。

 

「いかに喘息発作が起こらないようにするのか」が重要と考えています。

体調がすぐれない、発作が多い時期には無理をせず、

コンディションがよいときに歯科治療を受けられることをおすすめします。

歯科受診の際には、気管支喘息の状況、服薬内容を確認しますので、ご協力ください。

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