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やました歯科医院では初めてご来院いただく患者様に限り、インターネットからいつでもご予約いただけます。必ず以下の注意事項をお読みの上ご利用ください。
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赤ちゃんの歯は、生後7か月頃から生え始めます。
生えたての歯は、表面のエナメル質が未完成であるため、大人の歯と比べて
溶けやすく、う蝕になりやすい特徴があります。
生後6か月を過ぎると、個人差はありますが離乳食が始まります。
しばらくは母乳と離乳食(補完食)を両立することが多くなります。
生後10か月を過ぎると「母乳を飲ませているとう蝕になる」ということで卒乳を勧められる、
あるいは「母乳はう蝕にならない」と言われるなど、戸惑われることがあります。
また、母乳育児を続けたくても、赤ちゃんがう蝕になることは心配ですよね。
そこで、今回は、赤ちゃんのう蝕の原因を考えてゆきますね。
う蝕の発生には3つの要素がそろって成立します。 ~Keyes(カイス)の輪~
・細菌
う蝕の原因となる口腔内細菌の代表に「ミュータンス菌」があります。
赤ちゃんのお口の中にはミュータンス菌は存在しません。周囲の大人から感染します。
ミュータンス菌が産生する酸によってエナメル質内のリンやカルシウムが溶かされ(脱灰)、
エナメル質はやがて崩壊し、穴があきます。
・糖質
飲食物に含まれている糖質(とくに砂糖:ショ糖)はミュータンス菌が
酸を産生するときの材料となります。
母乳にも糖質が含まれますが、う蝕の原因とはなりにくいです。
・歯の質、唾液、生活習慣など
個人差はありますが、歯の質(エナメル質、象牙質)によって、う蝕になりやすい場合があります。
特に乳歯や永久歯が生えたばかりの子どもは注意が必要です。
唾液はお口の中の酸性状態を中和する働きがありますが、睡眠中は分泌量が減ります。
睡眠時間の多い赤ちゃんや乳児は唾液の分泌が低下することでう蝕のリスクが高くなります。
3つの要因に「時間」がさらに加わり、う蝕の進行が加速してゆきます。
お母さん方が心配される「母乳はう蝕になりやすいの?」ですが、
「母乳そのものがう蝕の原因にはならない」が答えとなります。
離乳食が始まると、砂糖(ショ糖)を含む食品や、果糖を含むジュース類のう蝕の原因となる
糖質を摂取し始めることで、う蝕発生のリスクが高くなります。
一般的に、「授乳」には、母乳そのもの、あるいは哺乳瓶によるもの、両方のことを指しています。
(哺乳瓶によるものは哺乳とも呼びますが)
そのため、「授乳」に関して、母乳を与える授乳と、哺乳瓶でミルク、水分を与える授乳を
分けて考える必要があります。
とある報告で、卒乳時期が遅くなると、う蝕の発生が高くなるというものがあります。
卒乳が遅れている場合では、砂糖を含んだ菓子や飲み物を与える回数が多いこと、
あるいは授乳(哺乳瓶による母乳以外)の時間が就寝前や夜中が多いことが示されています。
この報告では、卒乳の遅れはう蝕のリスクを高める生活習慣を併せ持っている可能性が指摘されています。
また、寝る前や夜間などで、哺乳瓶で甘味料を与えるなどの不適切な使用もう蝕の原因となります。
母乳育児中は生活習慣、食習慣、そして歯磨きのタイミングに注意が必要と言うことになります。
もちろん、ミュータンス菌への感染も見過ごせません。
母乳育児中は、寝かしつけ時におっぱいが必要ということも多いと思います。
しかしながら、寝かしつける前に歯磨きが終了している、あるいは赤ちゃんのお口のなかに糖質などの
う蝕の原因となるものがない状態であれば、添い乳などはう蝕にはなりにくいと考えられます。
今回は、う蝕の原因についてお話をいたしました。
原因がわかると対処はしやすくなります。
しかし、実際の育児ですべてを完璧におこなうことは非常に困難です。
甘味、糖質が悪者ではありません。与えるタイミング、量などをほんの少し気を付けるだけ充分です。
取り入れることが可能な方法は少しづつ試してみて下さいね。
う蝕予防は次の機会でご紹介してゆきますね。