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以前のブログでは、妊娠中は歯周病になりやすい、そのメカニズムについてお話をしました。
今回は、どうして妊娠中の歯周病予防が重要なのかをお話してゆきますね。
妊娠経過と歯周病の関係
1)早産のリスクが高くなる
早産は、正期産(妊娠37週0日から41週6日までの出産)より前の出産のことを指します。
つまり、妊娠22週0日から妊娠36週0日までの出産のことを早産と呼びます。
早産の原因には、感染症、喫煙、妊娠中毒症など母体側、胎児側それぞれにあるとされています。
実は、妊婦さんの歯周病は、早産のリスクが約7倍に高まるという報告があります。
これはアルコールやタバコ、年齢による影響よりもはるかに高い値と言われています。
これには歯周病を引き起こす歯周病細菌や炎症性物質が関与しているとされています。
歯周病は、①歯肉で炎症性物質が産生、②歯周病原因細菌が増殖した状態です。
以前のブログで紹介した歯周病原因細菌の一つであるP.intermedia(プレボテラ・インターミディア)ですが、
妊婦さんが歯周病の場合、このプレボテラ・インターミディアが増殖することで炎症性物質の産生が増えます。
炎症性物質は血流にのって、胎盤、子宮に移動し、子宮内でその濃度が上昇することで分娩が開始
(子宮を収縮させて、胎児を下の方に押し出す)され、早産に至ると考えられています。
2)低体重児出産
歯周病は、①歯肉で炎症性物質が産生、②歯周病原因細菌の増殖 が生じた状態でしたよね。
このうち、歯周病原因細菌が血流にのって子宮まで到達し、胎盤、子宮への感染が生じることで
胎児の成長不足を引き起こすという可能性が示唆されています。
低体重児とは、在胎期間に関係なく、出生時の体重が2500g未満の新生児のことであり、
上記の早産による低体重児とは分けて説明させていただいています。
3)歯周病と妊娠期間中の合併症(現在、研究中)
妊娠高血圧腎症、妊娠性糖尿病などの妊娠中の合併症と歯周病との関連は
現在研究中とされています。
今後の研究成果によっては、その関連性が明確にされる可能性もあるようです。
4)お子さんへの歯周病原因細菌の感染
そもそも、お母さんの歯周病原因細菌はどこからやって来たのでしょうか。
多くの場合、お母さん、育児をしている周囲の大人を介して、直接的にお口、間接的に食器、食べ物など
から感染するとされ、3歳頃には定着すると言われています。
そのため、育児中はう蝕原因細菌と同様に、歯周病原因細菌をお子さんに感染(伝染)させないように
注意が必要です。
いかがでしたか?
とくに、1)と2)および4)はよく言われることなので、ご存知な方も多いと思います。
歯周病は治療可能なだけでなく、予防も十分可能な疾患です。
生まれてくる赤ちゃんのためにも、確実な歯周病予防を行いましょう。