ブログ
Blog
やました歯科医院では初めてご来院いただく患者様に限り、インターネットからいつでもご予約いただけます。必ず以下の注意事項をお読みの上ご利用ください。
Blog
大阪市福島区 JR福島駅 JR新福島駅 阪神福島駅から近く
やました歯科医院です
「おしゃぶり」はいつまで?卒業はどうする?をテーマに考えてゆきます。
今回は顧問助産師と院長でブログを担当します。
まずは助産師相談室 顧問助産師 山下真由美から
私は助産師で、夫が歯科医師という立場で「おしゃぶりは使ってもいいよ。役立つよ。」と
発信しています。
※母乳育児を希望される方は、軌道に乗り出してからの使用をお勧めします。
以前のブログもご参照くださいませ⇒
新生児訪問や産後ケアで、実際にそのようなケースの方に声をかけると
「どうなんかな?って迷ってたんです。やってみます!」
「助産師さんと歯医者さんがそう言ってくれて安心しました!」と断然、肯定的な反応が多いです。
しかし一方で、
「やめるのが大変やって聞くんですけど、どうなんですか?」など、
おしゃぶりを卒業するときのことを心配される方が多いです。
そうなんですよね~
おしゃぶりを止めるのに、なかなかやめられず、
親も子どもも大変だったという話はよく聞きますよね。
「おしゃぶり早くやめさせや・・・赤ちゃんちゃうねんから」と
周囲の人からの嫌味ぽく聞こえる忠告や、母親が止めさせたいけど上手くいかずイライラしたりする。
そのイライラが子どもに向けられることに苦しんだり・・・
一方、子ども自身も「他の兄弟は大丈夫やのに、あんただけおしゃぶりいつまでもしてたから歯並び悪いねん。」
(歯並びはおしゃぶりだけが原因ではないことも以前にブログに載せましたね)と
いつまでも親に言われ続けて傷ついているお子さん(もう大人ですが)の話も伺いました。
おしゃぶりはやめるのが大変だから、初めからさせるべきではないという風潮が根強くありますよね。
一番押さえておきたいのはやめるのに適切な時期がある!
早くに卒業させようとすることが大変さにつながる!という点です。
適切な時期?それはいつ頃?
日本小児歯科学会では、2歳半ころから3歳までに~と言っています。
そうなんです。結構大きくなるまで使っててもいいんです。
これは、顎や歯への影響と子どもの心の成長・発達を鑑みての時期とされています。
このころの子どもの様子は、歩く走るなどして遊ぶことができます。
しゃべる、歌う、ひょっとすると自分の気持ちを話すことも可能なお年頃です。
心も体もどんどん成長、発達していきます。
ですから、「おしゃぶりが必要でなくなる」「自然に卒業できる」「言葉で説明をして納得できるようになる」
と言われています。
保護者も子どもも、お互いにストレスなく卒業できるようになる可能性が広がるのです。
それができるようになる体と心の準備ができているかは、子どもにとってとても大切な視点です。
そですよね、なんでも早い方がいいというわけではありません。
例えば
早くにオムツが外れた方がエライ
早くにお箸を使えた方がエライ
なんでも早いほうがいい、そしてそれを早くさせることができた親がエライ!
なんて聞きませんか?これらは単に思い込みにすぎないのかもしれません。
他方では、これらのことが子どもの発達に合っておらず、
周りの働きかけが子どもの心身の負担になっているケースもあるとの示唆されてもいます。
おしゃぶりも同様です。
早めにやめさせた方がエライ、みたいなことはありません。
子どもが必要としている様子があれば、やはりまだ必要なのでしょう。
みっともないという意見もよく聞きますが、そんなことはありません。
世界中には、だいぶ長い間おしゃぶりをしていてもそれが普通である文化が多いです。
そして、無理やりおしゃぶりと引き裂かれた体験は
子どもにとって「傷つき体験」「情緒の不安定さ」につながる可能性もあります。
赤ちゃんのおばあちゃまとお話していた時に、こんな話を教えてくれました。
「この子(赤ちゃんの母親)はおしゃぶりが取れなくて・・・苦労したんです。
そしたら姑がいつまでもやってると甘えた子になるっていって、この子の目の前でおしゃぶりをハサミでちょん切って!
この子むちゃくちゃ怒って。それから姑の家に行くと大泣きして大変だったのよ~。
そしてすぐに癇癪(かんしゃく)起こすようになってまあ大変で。苦労したわ。あれは良かったんでしょうか?」
おばあちゃま的にも、子どもも自分も良かったのかどうなのか、今だに思い出すことがある、とのことでした。
その時のお子さん(赤ちゃんの母親)の年齢は、1歳程度ということを考えても、お子さんにとって
おしゃぶりの卒業は早かったのかも知れませんね。
また、3人目を出産された方で、2人目からおしゃぶり使っているというお母様は、
「2人目は大変すぎて、上の子もいるし、おしゃぶり使ってました。卒業は2歳過ぎ。
3人目が産まれてから、すぐくらいに自分のおしゃぶりは赤ちゃんにあげるって、あっという間に卒業してびっくりです。」
しかも、泣いてる赤ちゃんに、自分のおしゃぶりを口に入れてくれたそうです。見ててキュンとなるような光景ですよね。
(衛生面では考慮された状態みたいです)
おしゃぶり卒業に関して、大切なのはあまり急がせないことだと考えています。
卒業の時期も方法もお子さんそれぞれですので、保護者もお子さんも
お互いに無理しないことは大切だと思います。
歯やお口周りのことを院長 山下智章からお話いたします。
おしゃぶりの使用は2歳半から3歳くらいまでと日本小児歯科学会が示しています。
これは乳歯の歯並びが完成する時期と重なります。つまり乳歯が生えそろう頃には
おしゃぶりを卒業しましょうね、ということになります。
ある文献で、おしゃぶりの使用期間とお口のトラブルの関連性を調査したものがあります。
19か月以上使用している小児(実年齢なら2歳6か月以上でしょうか)では開咬などの影響が顕著になる
というものです。
(石川朋穂、高田貴奈ほか:おしゃぶりについての実態調査―第4報2歳6ヶ月児のおしゃぶりの使用状況と咬合について―,小児歯科学雑誌44(3):434-438,2006. )
これらのことから、重ねてになりますが2歳半から3歳を目安にやめましょうねということになります。
そもそも歯は日々少しずつ動いています。
動いているので歯並びが歪むこともありますし、動かせるので歯列矯正という治療が成立しますし、
動くので歯列矯正後の後戻りも生じます。歯の治療で型取りをした詰物が、相当期間が開いてしまった場合に
フィットしないということも歯が少しずつ動いていることが影響しています。
乳歯の歯並びが完成してもおしゃぶりを卒業していなかった場合、悪影響として考えられることがあります。
・開咬:奥歯は咬んでいるけれど前歯は空いている状態
・上顎前突:いわゆる出っ歯の状態
これらは「指吸」「爪かみ」をしている場合でも同様のことが生じる可能性があります。
おしゃぶり、指吸、爪かみを止めさせるにはどうしましょうか?
通常は赤ちゃんの発達とともに消失するはずですが、お子さんそれぞれに個性がありますので
クセとして残ってしまう場合があります。
基本的には言って聞かせてが分かる年齢でなければなかなか難しいと思います。
これは3歳超の発達レベルとされています。ちょうど止めさせる年齢と近いですよね。
3歳超の発達レベルというと・・・
例えば「歯にバイキンマンが付いているから虫歯にならないように歯を磨こう」など具体的なことを
提示することで理解できる程度です。
また、お家の暗い場所をそれまでは怖がらなかったのに、「お化けがいるかもしれないから暗いところは怖い」
ということを言い出す頃合いでもあります。
この発達レベルがなければ、言って聞かせてもなかなか理解してくれません。
また、すぐに言って聞かせて「すぐ」に理解してくれるわけではないです。
つまり、「根気強く言って聞かせる」ことが必要になります。
※以前には指吸の防止にお子さんの指(爪)に苦味のある成分を塗布するものがありました。
いまも手に入りますが、欧米では虐待と捉えられているそうで推奨はされていないようです。
なかなか止められず、歯並びに影響が出てしまった場合はどうしましょう?
具体的はお話はまたの機会になりますが、簡単に。
乳歯の歯並び、乳歯と永久歯が混在した歯並びの時期までは
これらのクセが無くなれば、歯は本来の位置に移動します。
歯並びは歯の周りの筋肉に影響を受けます。
口唇と頬:外から働く力と舌:内側から働く力が押し合った位置に歯は並んでいます。
このバランスが崩れると、歯が外に出る、内側に傾く、前歯がかみ合わさないなとの
トラブルにつながります。
バランスを崩す原因の一つに上述のクセ(悪習癖)があります。
このクセによって歯並びに影響が出ても、クセが無くなればある程度は歯並びは戻るということになります。
また、クセがある状態で歯列矯正をしても、クセの力と矯正の力がぶつかり合い、歯が動かないこともあります。
少なくとも、悪習癖はなくすようにしたいですね。
何かと不安はあると思います。その際にはぜひご相談くださいね。定期的なケアは安心にもつながります。
以上、やました歯科医院 山下智章が担当しました。
今回は「おしゃぶりをいつ卒業する?」をテーマにしました。
~おしゃぶりをそこまで恐れなくてもいいよ。上手くいけば、もっと子どもと保護者が穏やかに過ごせる時間が増えるかも!~
という考え方もあります。
保護者も子どもも、心穏やかに過ごせる時間が増えることは、育児の中で最大級に重要であると考えます。
そして、おしゃぶりを恐れずに使うことが、家族の育児困難感を軽減させる大事なキーワードの一つになるのではとも思っています。
自分らしい豊かな育児を応援しています!
大阪市福島区 助産師のいる歯科医院 福島、新福島駅からすぐ近く
(当歯科医院の特徴やコンセプトはコチラをご覧ください⇒https://yamashita-dnt.com/ )